日本政策金融公庫の創業融資|よくある質問
起業家バンク(弊社)の代表者が日本政策金融公庫に15年以上在籍していた公庫出身の経営コンサルタントということもあり、日本政策金融公庫の創業融資に関するご質問を非常に多く受けています。
日本政策金融公庫に直接お問い合わせいただく方が確実ではありますが、差し障りのない範囲で「よくある質問」をまとめました。また、公庫の立場では答えづらい内容も、なるべくストレートに答えています。これから日本政策金融公庫の創業融資を検討される方の参考になれば幸いです。
日本政策金融公庫について
1.日本政策金融公庫とは
日本政策金融公庫とは、政府が100%出資している政府系の金融機関です。2008年、日本政策金融公庫の前身である国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫の3機関が統合して設立されました。沖縄県を除く46都道府県に支店があり、起業家や中小企業に事業融資を行っています。
2.融資制度が複雑で、どの制度で申し込めばいいか分からない
起業時の融資制度は、通常「新創業融資制度」で申込しますが、もっともメリットの高い融資制度を公庫側が選択する仕組みとなっているので、起業家が申込時に決めておく必要はありません。日本政策金融公庫は政府系の金融機関なので、その時代の政策によって融資制度の内容が大きく変わるのが特徴です。
3.無担保無保証の意味が分からない
新創業融資制度は、原則「無担保無保証」となります。無担保とは、不動産や有価証券などの担保が不要という意味です。無保証とは連帯保証人が不要であることを意味になります。
4.法人の代表者は連帯保証をしなければならないのか
新創業融資制度は無担保無保証が原則となるので、法人の代表者であっても連帯保証は不要です。ちなみに、新創業融資以外の通常の融資については、無担保無保証でも融資を行いますが、法人の代表取締役が連帯保証人になることがあります。
5.起業した後に創業融資を申し込みできるか
起業した後でも創業融資の申し込みは可能です。この場合は、創業計画書を提出するのではなく、帳簿(実際の稼働状況)を見て融資判断をします。ただし、決算や確定申告を2期行った場合は「新創業融資制度」を利用することはできなくなります。
6.副業でも申し込みができるか
副業であっても事業性が認められれば申し込みができます。ただし、お金だけ出資するオーナーとしての起業、単なる不動産への投資など、自分の汗をかかない投機性の高い事業は、融資対象とならないことが大半です。
7.ベンチャー企業でも申し込みができるか
資本性ローンといった出資形態に近い融資制度もあるため、ベンチャー企業のようなマスマーケットを対象にした新規ビジネスでも申し込みは可能です。しかし、日本政策金融公庫といえど、リスクマネーを融資することはできないので、やはりベンチャー企業への融資は消極的となります。
融資を申し込むとき
8.個人事業と法人では、どちらが借りやすいか
起業時においては、個人事業も法人も融資の受け易さは変わりません。起業後だと、法人の方が決算関係書類が整っているので、いくぶん融資は受け易くなります。これは日本政策金融公庫に限らず、他の金融機関でも同じです。
9.同時に他の金融機関に融資を申し込みしてもいいか
日本政策金融公庫への申し込みと同時に、他の金融機関に融資を申し込みしても問題ありません。複数の金融機関を天秤にかけて、最も融資条件の良い方から借入すればいいのですが、創業融資が決定された後でキャンセルすると心証が悪くなり、今後の借り入れに支障が出る可能性もあります。
10.融資を申し込む前に自己資金を支出してもいいのか
融資を申し込む直前であれば、自己資金を支出しても問題ありません。領収書などの裏付け資料があれば、自己資金として認められます。出金の経過が分かるよう、なるべく通帳から振り込むなど工夫をし、領収書なども必ず保管しておきましょう。
11.融資前に店舗・事務所の賃貸契約を締結しておく必要があるか
融資の申し込み前に店舗・事務所で使用する物件を契約しておかなければならないのか悩むと思いますが、賃貸契約まで締結しておく必要はありません。本契約の前に貰う「重要事項説明書」などを提出すれば大丈夫です。ただし、この物件を借りる予定としておきながら、別の物件を借りるのは基本的にNGです。融資の審査中に他の人に先を越された場合は、融資を受ける前に事前に相談しましょう。
12.許認可は事前に取得しておくのか
飲食業や人材派遣業など、商売によっては許可がないとできない事業があります。融資を受けないと許認可が取得できないケースもあるので、飲食店などの営業許可は融資後に確認します。しかし、宅地建物取引業などの一部の許認可は、融資直前に確認されています。
13.法人の資本金を借り入れできるか
借入金は会社設立時の資本金には利用できません。会計上も資本の部と負債の部と混同してはならないことととなっており、返済義務のある借入金は負債の部に計上しなければりません。
14.自己資金は十分あるが、実績作りのために融資を受けた方がいいか
借入や完済実績があれば、次回以降、借入しやすくなるのは間違いありません。低金利なので少額融資ならば、月々数百円の利息となり、支払利息はほとんど発生しないので、今後のために少額を借り入れしてもいいでしょう。
15.運転資金はいくらぐらいで申し込みすればいいか
事業モデルによっても異なりますし、現金商売か掛け商売かによっても異なりますが、一般的には3~6カ月分ぐらいの経費に相当する金額が妥当と言われています。
16.事業を引き継ぐときに新創業融資は使えるか
まったく別の事業体が生まれた場合は新創業融資を利用できますが、基本的に事業の引き継ぎは創業にあたらないので新創業融資は使えません。経営難の事業を引き継ぐ場合は、事業を引き継ぐのではなく、別の事業体で創業した方が賢明でしょう。
17.過去に破産や個人再生をしているが、そのような人でも申し込みできるか
過去に破産や個人再生をしていても申し込みは可能です。いつ債務整理をしたか、残債が残っているかなどにもよりますが、実際に融資がおりるケースも少なくありません。ただし、通常よりも審査が厳しくなります。
創業融資の審査
18.融資審査は甘いのか
決して甘いわけではありませんが、政策金融という立場上、多少の難点には目をつむって前向きに検討してもらえます。起業家の技術や経歴などのバックグラウンドや事業計画がしっかりしていれば、融資を前提とした判断をしてもらえます。
19.面接では何を聞かれるのか
非常に長文となるので、こちらの記事を参照してください。
関連記事:起業家が創業融資の審査で必ず聞かれる31のポイント
20.自己資金と認められるものを教えて欲しい
こちらも非常に長文となるので、こちらの記事を参照してください。
21.見せ金をしたらバレるか
創業融資においては「自己資金要件」があるので、自己資金の存在を公庫に証明しなければりません。このとき、一時的にどこからか資金を調達して、それを自己資金として申し出ることを「見せ金」といいます。見せ金は高確率でバレますので、絶対にしないようにしましょう。
22.融資審査で必要となる書類
自己資金が確認できる通帳、事業計画書、前の勤務先の源泉徴収票、運転免許証などの身分証明書が必要になります。融資審査で必要になる書類は支店によって異なりますので、管轄の支店に連絡を入れて必要書類を確認しましょう。
23.なぜ融資審査の結果が早い人と遅い人がいるのか
通常、面談から審査結果が出るまで、2週間~1カ月程かかります。起業は1つとして同じものがなく、それぞれ個別に審査を行いますので、審査結果に違いが出るのは当然といえるでしょう。特に高額な融資申込は難易度が上がりますので、時間がかかる傾向にあります。提出資料に不備がない場合は比較的スムーズに審査結果が出るので、資料に漏れがないように注意しましょう。
24.ズバリ借入できる人と借入できない人の違いは?
基本的に融資判断は前向きな姿勢で行われます。実務経験が無い人、公共料金などの支払いが遅れがちで返済に不安がある人、自己資金の裏付けが取れない人、事業計画の完成度が低い人、信用情報などの返済実績が悪い人などは借入することが難しくなります。
審査結果がでたとき
25.いつから利息が発生するのか
融資の契約日から利息が発生します。融資契約は、正式には「金銭消費貸借契約」と呼ばれます。金銭消費貸借契約の契約日は融資が預金通帳に振り込まれた日になるので、そこから支払利息が発生します。
26.追加融資を申し込むときのタイミング
創業融資を受けた後、追加で借入したいこともありますよね。その場合は、最初の融資から1年以上空けておくとスムーズに進むと思います。最初の融資から半年以内だと、追加融資を断られることが多くなると思います。
27.融資の返済ができなくなったときはどうすればいいか
返済ができなくなったときは、通常リスケを申し出ます。リスケとは、「リスケジュール(reschedule)」の略で、スケジュールを変更するという意味で、金融機関で使われるリスケは、「毎月の返済額を減額する」という意味で使われます。
28.融資を断られたとき事業計画を変更すれば審査結果は変わるか
基本的に審査結果は変わりません。ただし、過大投資だったものをスモールスタートにするなど、審査判断のボーダーライン上にあったのならば、事業計画を再考することで審査結果が変わる可能性があります。
29.融資を断られても起業後に再申込できるか
起業後の実績によっては融資が認められる可能性は十分にあります。ただし、起業直後だと過去の融資判断をくつがえすことは難しいので、数か月の稼働実績をもって再申込した方がいいでしょう。
30.日本政策金融公庫以外で資金調達できる方法はあるか
都道府県や市区町村などの自治体が運営する制度融資で資金調達できる可能性があります。制度融資を行っている自治体と行っていない自治体があるので、お住いの自治体で制度融資を行っていないか確認しましょう。
まとめ
日本政策金融公庫の融資に関連した「よくある質問」についてまとめました。これから日本政策金融公庫の創業融資を検討される方の参考になれば幸いです。
今回はここまで。
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