起業家に伝えたい大切なこと

会社員が副業で起業|会社設立するメリットとデメリット

起業家バンク事務局

2023.04.06

働き方改革に伴い、年々増加する会社員の副業。なかには、自分で会社を立ち上げて副業しようと考える方も多いのではないでしょうか。この記事では、副業で会社設立するメリットや注意すべきポイントを解説します。

副業で会社を設立するメリット

自分で事業を始めるにあたり、会社を設立するメリットは沢山あります。その中でも会社を設立する主なメリットを3つ紹介します。

個人事業主よりも社会的信用度が高い

個人事業主よりも、法人の方が社会的信用度が高いです。信用度が高ければ顧客を獲得しやすいですし、そもそも法人でないと取引をしないという会社も数多くあります。また、信用度が高いため、融資などの資金調達は、個人事業主よりも容易になるといったメリットもあります。

経費の対象が増えて節税しやすい

個人事業主と比べて法人は経費に計上できる範囲が広いため節税がしやすいです。最も大きな違いは、給与を計上できることです。法人の場合、自分の好きな金額で役員報酬を決定して経費計上できますので、高い節税効果が期待できます。

自分の都合にあわせて決算日を決められる

個人事業主の場合は、1~12月を1年度とし、皆が同じタイミングで確定申告を行います。一方、法人は決算月を自由に決められるため、本業やプライベートの繁忙期と決算業務が重ならないように調整することができます。

副業で会社設立するデメリット

① 個人事業よりも納税額が多くなる場合がある

個人の所得に対しては所得税、法人の所得に対しては法人税が課せられます。所得税と法人税では税率が異なるため、所得金額によっては個人事業主よりも納税額が上がってしまいます

《所得金額が300万円の場合》
所得税率:10%
法人税率:15%または19%(資本金1億円以下の普通法人の場合)

《所得金額が700万円の場合》
所得税率:23%
法人税率:15%または19%(資本金1億円以下の普通法人の場合)

所得税率は所得金額に比例して、最大45%まで上がりますが、法人税は最大23.4%です。つまり、所得金額が多い場合には会社を設立したほうが納税額が抑えられます。 

② 社会保険への加入が必須

ここでいう社会保険とは、健康保険と厚生年金保険の2つを指しています。新しく会社を設立したときは、この社会保険に加入しなければなりません。たとえ代表者が一人で会社を設立した場合であっても、社会保険の加入は必須になります。

会社員の方は本業の会社で社会保険に加入しているため、新たに会社を設立すると社会保険が重複してしまいます。そのため、次のように社会保険を調整する手続きが必要です。

社会保険の調整手続き

新しい会社で社会保険に加入すると、社会保険を管轄する会社が2つ存在することになります。このとき本業の会社もしくは新しく設立した会社のどちらかを「主たる事業所」として定めることになります。

具体的には、主たる事業所を管轄する年金事務所または健康保険組合に「被保険者所属選択届・二以上事業所勤務届」を提出して手続きをします。健康保険証は、ここで選択した主たる事業所から新たに発行されます。なお、この手続きは2カ所の社会保険加入要件を満たした日(今回の場合は、副業の会社を設立した日)から10日以内に行わなければなりません。

社会保険料の支払い

社会保険料は、2つの会社の標準報酬月額の合算金額をベースに、それぞれの会社で支払っている報酬額で按分した金額が、それぞれの給料から天引きされます。

《例》
本業の会社の給料:500万円
副業の会社の給料:100万円
保険料合計:60万円 の場合

本業:副業=500万円:100万円=5:1
本業の保険料=50万円
副業の保険料=10万円

③ 事務手続きの負担が増える

会社員が副業で会社を設立するときに負担になるのが事務手続きの多さです。会社員であれば会社が代わりにやってくれていた労務や税務の手続きなどを全部自分で行う必要があります。これらを本業以外の時間で行わなければなりません。

本業の繁忙期などと重なった場合には、心身ともに負担となるでしょう。事務作業は税理士や社会保険労務士などの専門家に依頼することもできますが、その分コストが増加するのもデメリットの1つと言えるでしょう。

④ 赤字でも納税しなければならない

法人住民税は、会社の拠点がある地域に対して支払う税金のことで、均等割と法人税割の2つで構成されています。このうち、均等割部分については、売上や利益に関係なく、資本金と従業員数に応じて納税額が決定します。

つまり、赤字であっても均等割については納税しなければなりません。個人事業主の場合は、所得が赤字であれば所得税・住民税ともに0円になるため、この点は大きく異なります。

⑤ 本業の会社に副業がばれる可能性が高くなる

もし本業の会社で副業を禁止している場合は注意が必要です。個人事業主であっても、住民税の増加などから副業がばれてしまうケースはありますが、会社を設立すると、上記②の社会保険料の手続きなどで、本業の会社にばれるリスクはかなり高くなります。

会社設立で本業の会社に影響はある?

副業で会社設立するときに一番気になるのは、本業の会社への影響ではないでしょうか。もし、本業の会社で何らかの手続きが必要になれば、事前に責任者へ話を通しておく必要があるかもしれません。

本業の会社に特に影響があるのは社会保険です。前述した通り、社会保険料の支払いは本業と副業で按分となります。つまり、本業の会社で給料の再計算という手間が発生するのです。

もし、本業の会社に迷惑をかけたくないのであれば、副業の会社で社会保険に加入しないように調整する必要があります。副業の会社で社会保険に加入しないように調整する方法は以下の2つです。

株式会社のオーナーとして参画する

株式会社の場合、たとえ株式を100%保有していたとしても、会社の代表者や従業員にならない限り、社会保険に加入する必要はありません。親族など信頼できる方を代表者に据えて実経営者として手腕を振るいながら、社会保険の加入を避けることができます。この場合、株式会社の代表になった方が社会保険に加入することになります。

役員報酬をゼロ(無給)にする

社会保険は、報酬や給料をもとに保険料が決定する仕組みです。したがって役員報酬がゼロ(無給)であれば、保険料の支払いが発生しない=社会保険に加入できないということになります。社会保険に加入しなければ、社会保険が二重になることもありません。ちなみに、労働保険(労災保険と雇用保険)の対象ではないため、労働保険については本業の会社との調整は不要です。

まとめ

さまざまな起業のスタイルがあるなかで、会社員が副業で会社を設立するにはメリットもありますが、注意すべきデメリットも無視できません。それを知らずに会社設立を進めてしまうと、損をしたり本業の会社に迷惑をかけたりすることもあります。事前の情報収集をしっかり行い、スムーズな会社設立を目指しましょう。もし、自分で調べてもわからないときは、税理士など専門家の知恵を借りることも検討してみましょう。

今回はここまで。
お役に立てたでしょうか?

起業、融資、補助金などについて知りたいことがあれば、公式LINEからお尋ねください。匿名でのご相談にも広く対応しています。営業や勧誘は一切行いませんので、お気軽にお問い合わせください。

公式LINE:友達登録
https://page.line.me/vwf5319u

この記事を書いた人

起業家バンク事務局

起業家バンクは事業計画書の作成専門店。
起業家のみなさま、すでに経営を行っている中小企業、ベンチャー企業の経営者さまに役立つ情報を提供しています。

ブログ内の記事に関するご意見や不適切な表記については、電話番号「0120-905-061」にご連絡ください。当社にてご申告内容を確認したうえ、調査させていただきます。

「スモールビジネス成功読本」書籍販売中

LINE公式アカウントでも相談できる
(友だち登録者数 1,469) 

友達追加から
友達を追加
QRコードから