起業家に伝えたい大切なこと

事業融資が断られる、減額される35の理由

起業家バンク事務局

2023.04.05

実績1

銀行、信用金庫、日本政策金融公庫などの金融機関は、起業家や中小企業向けに融資を行っています。しかし、融資を申し込みしても、融資を断られたり、希望金額から減額させられたり、希望した通りに融資が出ないことも少なくありません。この記事では融資を申し込みした際、これらの金融機関から融資を断られる、または減額される35の理由を解説しています。

Ⅰ.事業に関する理由

1.事業が不採算である

そもそも事業の収支が赤字であれば返済に充てる財源が不足することになるため、融資が断られる、減額される確率が高まるでしょう。実際、不採算は融資が断られる、減額となる理由として、最も多い理由のーつです。

ただし、少し難しい話になりますが、たとえば減価償却費といった非資金項目(実際にキャッシュアウトしない支出項目)によって赤字となっている場合は、返済財源が不足するわけではないので、さほど大きな問題になることはありません。
金融機関は返済してもらえるか否かを審査するわけですから、会計上の損益よりも、キャッシュフローで黒字を確保しているかどうかが重視されます。

2.未申告である

申告義務があるにも関わらず、確定申告を行っていない場合、融資を受けることは難しいでしょう。未申告であると収支が黒字なのか赤字なのかはっきり分かりません。金融機関はしっかり返済してもらえるか否かを審査しているわけですから、黒字か赤字か分からない状況だと審査の土俵にも上りません。

また、未申告は脱税の可能性が生じるため、コンプライアンスを重視する金融機関が未申告事業に融資をすることはないでしょう。貸し手責任を問われて社会的な批判を浴びたくないからです。

3.役員報酬がゼロである

黒字に見せるために役員報酬をゼロにしたとしても、それは健全な黒字とはいえません。役員とはいえ生活していかないといけないわけですから、最低限の役員報酬は必要経費として支出して然るべきです。

役員報酬を支出しない状態が永遠に続けられるわけではないですし、見た目だけの黒字で審査担当者の目をごまかすことはできません。むしろ、役員報酬をしっかり計上して赤字になっている方が審査担当者の心証はいいでしょう。

4.資産が少なく負債が多い

これまでは主に収支に関する話でしたが、今回は資産と負債のバランスの話となります。金融機関が重視している経営指標のーつに「自己資本比率」という指標があります。
自己資本比率とは、総資本(資産+負債)のうちどの程度が自己資本(資産)で占められているかを表すもので、一般的に20%以上あれば安全、10%~20%であれば警戒、10%以下であれば危険水域と言われています。

資産が少なく負債が多いと、自己資本比率が低下するため、融資先として敬遠される傾向にあります。資産負債のバランスを整えて経営することが非常に重要です。

5.自己資金・資本金が少ない

手持ち資金が少ないから融資を受けるんだ!と考えるでしょうが、突き詰めれば、先ほどの「自己資本比率」の問題と同じです。
たとえば、自己資金が50万円で500万円の融資を受ける場合、総資本が550万円(資産+負債)、自己資本が50万円(資産)となり、自己資本比率は約9%となります。つまり、金勇機関側の立場から言えば、融資した瞬間に自己資本比率が10%以下となり、危険水域にある会社に融資するのと同じになるわけです。
少しでも手持ち資金を積み上げるか、借入金を減らすか、基本的な対策としては2つに1つと考えましょう。

6.必要な許認可がない

事業によっては、事業を行う前に許可や認可などを取得しなければなりません。必要な許認可を取得していなければ、コンプライアンスに厳しい金融機関が融資をすることはありません。許可や認可ではなく、登録や届出といった手続きは忘れがちなので特に注意が必要です。また、許認可には有効期間が定められていますので、更新漏れにも留意しましょう。

7.事業の目的が登記されていない

株式会社や合同会社であれば、会社を設立するとき事業の目的をあらかじめ登記します。たとえば、飲食店を経営する場合は、事業の目的に「飲食店の経営」と登記することになります。実際に行っている商売が事業の目的に登記されていなければ、融資対象として不適格と判断され、融資は受けられないでしょう。

8.フランチャイズ事業である

母体となるフランチャイズ本部の業績が良くない場合や事業主のスキルとフランチャイズビジネスとの関連性があまりに薄い場合は融資を断られる、または減額される対象になります。

金融機関は幅広い情報を持っているため、フランチャイズ本部の真の業績を把握しています。フランチャイズ本部の損益シミュレーションをそのまま鵜呑みにするのではなく、自分なりにしっかりとした事業計画を考えた方がいいでしょう。

9.消費者金融から借入している

通常、消費者金融の利率は、銀行が行っている一般的な融資の5倍以上の利率が適用されています。

資金調達に係るコストを専門用語では「資本コスト」と呼びますが、高い資本コストを払っている事業者は金融機関に敬遠されます。その理由は、支払利息が高いこと、債務観念が低い(お金に対してだらしない)などです。理由はともかくして、消費者金融はあくまで消費者が使用するもので、事業者が事業資金として利用するものではないことを心の片隅に留めておきましょう。

10.過去に破産・民事再生をしている

破産や民事再生といった過去の事実に対して非常に厳しいのが、今の日本の金融機関の特徴かもしれません。会社または経営者個人が過去に破産・民事再生を行ったことがある場合は、民間金融機関の融資を受けることは難しくなります。この場合、破産や民事再生を行っていたとしても申し込みができる公的融資(日本政策金融公庫の再チャレンジ資金など)を検討した方がいいでしょう。

 

 

Ⅱ.経営者に関する理由

11.返済が遅延している

事業が不採算のために返済ができない場合は当然に融資の対象になりませんが、お金があるのに残高不足などの些細な理由で返済が遅延してしまっても「お金にだらしない経営者」というレッテルを貼られ、融資が断られるケースがあります。

商品の仕入代金の支払いが遅れると、商品を仕入れることが難しくなります。店舗の家賃が遅れたりすると、退去を求められることがあります。金融機関の取引も同じで、約定の期日に返済をしないと、次の取引(融資)に支障が出るのは当然のことです。

12.カードで複数キャッシングしている

金融機関は信用情報を取得しますので、誰がどれほどの負債を抱えているか把握することができます。そのときクレジットカードから複数キャッシングしていると、高い資本コストを払っているとみなされ、融資が断られることがあります。カード社会となっていますが、できる限りカードの枚数を減らし、必要以上にカードを所持しない方がいいかもしれませんね。

13.虚偽の申し出をする

融資審査では、事業内容、経歴、借入状況など、多方面から審査されます。何か後ろめたいことがあっても、正直に話すようにしましょう。知られたくないことを隠し通せる自信があるなら別ですが、バレたときのリスクは大きいです。どうしても話したくない内容があるなら、以前に話題となった「ごはん論法」などの交渉術が有効かもしれませんね。

14.転職回数が多い

忍耐力は経営者にとって必要な資質の1つです。転職回数が多いと、審査担当者が「この人は忍耐力に欠けるのではないか」という心証をもち融資を断わる、または減額することがあります。

転職回数と忍耐力を結び付けて考えるなんておかしい!と思う人もいるでしょう。その意見も分かるのですが、理屈ではなく心証の問題なので仕方ありません。1年以内でやめた職場は上手く隠した方がいいかもしれませんね。

15.会社役員が短期間で変わっている

経営している会社の役員が短期間のうちにコロコロ変更されていると、会社の事業基盤が脆弱であると判断され融資を断られることがあります。一般的に考えても、短期間で会社役員が変わっている会社は信頼されないでしょう。役員に任命する場合は、慎重な人選が必要です。

16.本店住所が短期間で変わっている

役員とどうよう、本店住所が短期間のうちに変更されていると会社の事業基盤が脆弱であると判断され、十分な融資を受けられないかもしれません。会社であれば、本店住所を登記するため、住所を変更した履歴はずっと残り、住所が変わったかどうかはすぐに判明します。頻繁に本店住所を変えないように注意しましょう。

17.過去に金融機関とトラブルがある

トラブルの履歴は、長期間残るので、金融機関の担当者とは決して喧嘩をしてはいけません。金融機関に限らず、大きな組織になれば、一定割合で変人もいます。たとえそのような人が自分の担当になったとしても、トラブルに発展するほどクレームを言うのは賢明ではありません。できる限り大人の対応を心がけましょう。とくに金融機関は転勤サイクルが早いですから、2~ 3年もすれば異動になり、顔を合わせずに済みます。そこまで我慢です。

18.傀儡社長である

傀儡(かいらい)とは、自分の意志ではなく、他人の言いなりに動いているあやつり人形のことを指します。つまり傀儡社長とは、肩書きだけのお飾り社長のことで、事業について自分の言葉で語ることができず、オーナーや会長の言いなりとなっている社長のことです。事業の全体像や将来ビジョンなど説明できないと、経営者として信用を得ることはできないでしょう。

 

Ⅲ.事業計画に関する理由

19.事業計画書の完成度が低い

新規事業の立ち上げを目的として融資を受ける場合、決算資料とともに事業計画書の提出を求められます。その事業計画書の完成度が低いと、本来リスクとは言えない事柄についてもリスクであると評価され、融資が断られる、または減額される対象となります。

事業計画書は相手の知りたい内容を、的確に、かつ論理的に記載しなければなりません。審査担当者に「この事柄はリスクではないな」と納得させられる事業計画書を作成しましょう。

20.事業内容が斬新すぎる

銀行などの金融機関はベンチャーキャピタルとは違いリスクマネーを融資することはありません。銀行の利益はインカムゲインとよばれる利息収入であり、毎月、元金と利息をしっかり返済してくれる事業者に融資を行います。つまり、石橋を叩いて渡る堅実さが銀行に評価されます。「斬新な新規事業で、当たれば一獲千金」という事業は決して好まれないことを知っておきましょう。斬新性をPRしても逆効果です。

21.事業計画の根底が変わる

事業計画の内容がコロコロ変わると審査担当者も何を信じて審査していいか分からなくなります。軽微な変更ならまだしも、根本的に計画が変わるのならば、信用できない事業計画と評価されても仕方ありません。

たとえ審査担当者から事業計画書の記載内容について指摘されたとしても、「じゃあ、そのように変更します」と簡単に応じるのではなく、しっかりと審査担当者に自分の意見を述べましょう。その過程を経たうえで事業計画を見直すのであれば大きな問題は起こらないでしょう。

22.過大投資すぎる

事業規模に比べて設備や新規事業への投資額が大きすぎると判断された場合、融資は断られます。投資額が大きいということは、それだけ新規事業を運営(ハンドル)するのが難しいということです。車の運転から飛行機の操縦にグレードアップするようなもので、飛行機を動かせるだけの組織力(操縦士、CA、整備士等)も含めて運営力が必要となります。

過大投資と言われても、なお、事業を前進させたいと考えている場合は、丁寧な事業計画書を作成し、採算に合う事業であることを示すことが大切です。

23.融資の使いみちが不適切

決算状況に問題がない場合でも融資の使いみちが不適切であると融資が断られます。たとえば、非合法なドラッグを海外から仕入れる資金というのは、使いみちに問題があると分かりますよね。こんな極端な話でなくても、購入したばかりの車の買い替える費用だったり、子供の学費に充てるなどの私的費用だったりと、事業資金として使いみちが不適切である場合は融資対象になりません。

 

Ⅳ.金融機関側の事情

24.与信額をオーバーしている

与信とは「信用を与えること」で、与信額とはいわば金融機関が事業者ごとに定めている融資限度額です。金融機関はそれぞれの基準に従って、この事業者はこのぐらいの金額まで融資がOKという融資枠を定めています。

色々なケースがありますが、たとえば、ある事業者の与信額が3千万円で、その事業者から3千5百万円の融資の申し込みがあった場合は5百万円の減額となる、といった考え方です。与信額は銀行ごとに定められており、与信額がオーバーするのであれば、他の金融機関に融資を申し込むなどの対策をとりましょう。

25.担保割れ

経営者保証に関するガイドラインが強化されたことで、保証のいらないプロパー融資が年々増加していますが、融資の希望額が高額のときは、やはり不動産などの担保が必要になってきます。金融機関が行う担保評価額は、たとえば不動産であれば時価の70%というように、一定の減額査定がなされます。

担保は年数の経過などの理由で評価額が年々減少するケースが多く、このとき融資を受けるために必要な担保評価額に届かず、担保割れが生じてしまいます。担保割れが起きると、融資が断られる、または減額されることになります。

26.他の金融機関の融資が断られている

メイン銀行とサブ銀行の両方から融資を受けている場合、メイン銀行から融資を断られると、サブ銀行の融資がストップすることがあります。事業をメインに支えている銀行の融資が止まると、サブ銀行だけでは資金需要に応えられなくなるためです。

サブ銀行の方から融資を断られた場合はどうなるでしょうか。この場合も、メイン銀行のスタンスによっては融資がストップする可能性があります。メイン銀行をどこにするか、慎重に情報収集しながら検討しましょう。

27.前回の融資から日が浅い

2回目以降の融資で前回融資を受けたときから日が浅いと融資を断られることがあります。1カ月前に融資を受けて、さらに今月も融資を受けたいと考えてもダメということです。

では、どのぐらいの期間を空ければよいかということになりますが、実は特に決められた期間というものはありません。たとえば、前回の融資の返済回数が10回であれば、半年ぐらい経過すれば追加融資が検討できると思いますが、返済回数が100回払いであれば半年経過してもほとんど返済が進んでいないので追加融資のハードルは高くなります。

そうはいっても、前回の融資直後に大企業と取引が決まったなどの特殊事情があれば、それはそれで考慮されるので金融機関の担当者にその都度相談した方がいいでしょう。

28.融資を断られてから日が浅い

融資を申し込みして断られた場合、その直後に融資の申し込みをしたとしても上手くいきません。融資が断られた原因を突き止め、その原因を改善しない限り、融資を受けることはできないでしょう。すぐに融資を必要とする場合は、堅実な事業計画書を作成して提出するなどの工夫が必要でしょう。

29.決算が2期終わっていない

融資審査の方法の1つに「経年比較」というものがあります。要するに事業者の過去の実績と現在の実績を比較して良くなっているか悪くなっているかを分析するものです。決算が1期だけだと、数字が良くなっているか悪くなっているか傾向がつかめません。そのため、決算が2~3期終わるまでは静観する金融機関が多く、融資を見送る傾向にあります。

30.リスケをしている

リスケとは「返済スケジュールを変更すること」、つまり、事業が上手くいかず融資の返済額を減額することです。

リスケをしているということは、融資を受ける際に金融機関と約束した返済額が支払えなかったことを意味するので、当然ながら追加融資を受けることはできません。まずは当初に約束した通りの返済額に戻して正常返済ができることを示しましょう。

 

Ⅴ.その他の原因

31.保有する株式が少ない

株式会社を設立した出資者が別にいて、自分は会社オーナーから雇われているケースです。大企業であれば保有株式が少なくても大きな問題は起こりませんが、中小企業の場合は経営者のリーダーシップが社運を左右することが多いので、代表取締役が会社を実質的に動かせる人間かどうかは、融資審査の非常に重要なポイントとなります。実質的な経営権がオーナー側にあると判断された場合は、経営の決定権がないとみなされ、融資を受けることは難しくなるでしょう。

32.主な取引先が一社のみである

とくに建設業、製造業、運送業で目立ちますが、取引会社、親会社の一社専属で仕事をしている場合、リスクが高い事業者として融資を断られる、または減額されるケースがあります。専属先が大企業であるなど事業基盤が盤石であれば良いですが、専属先の事業基盤が脆弱であった場合は、下請け会社の未来は非常に不透明になります。自社ホームページなどを制作して販路を広げるなど、一社に依存しない販売ルートの開拓が必要となります。

33.家族が銀行と取引をしている

融資を申し込みしている金融機関と自分の親族(配偶者など)が取引関係にある場合、ケースによっては自分の融資に影響を及ぼすことがあります。
たとえば、配偶者が金融機関から融資を受けている場合、夫婦が全く違う事業を営んでいたとしても、最終的な財布は1つとみなされ、融資を断られる、または減額されるケースがあります。
金融機関には守秘義務があり「あなたの親族が原因で融資ができない」とは絶対に言いません。そのため、申込人の方としては融資を断られる理由が分からず、フラストレーションだけが溜まるといった悪循環に陥りやすくなります。

34.賃貸物件が事業の用途で使えない

事務所や店舗を構えるとき、ほとんどの方は賃貸物件を借りると思います。実はこの賃貸物件が原因で融資を断られることがあります。たとえば、物件を借りるとき、家主と賃貸借契約を結びますよね。この賃貸借契約には通常、使用目的に関する条項が定められています。その使用目的が「居住用」であったりすると、事業の目的で使うことはできません。事業の用途に使えない物件で営む事業者に融資をすることはできないため、このようなケースは融資が断られることがあります。特に自宅を事務所や本店住所として使う場合、事前に賃貸借契約書の使用目的が居住用となっていないか、確認が必要です。

35.賃貸物件が又借りである

賃貸借契約には通常、又貸し禁止(転貸禁止)の条項が定められており、家主が又貸しの事実を知ったときは、無条件で賃貸借契約を解除することができると定められています。又貸しだと、立ち退きを求められるリスクが生じるため融資を断られることが多いです。親族や友人の厚意で事務所や店舗の一角を借りるときは、又貸し禁止の条項に抵触していないか確認しましよう。

 

まとめ

長文をお読み頂きありがとうございました。人口減少の折、全体の事業者数が減少していることから、金融機関は融資先を探している状況であり、金融機関の貸出姿勢は緩やかになっています。それでも融資を断られる、減額されるということは何らかの原因があるはずです。この記事が、その原因を突き止めるきっかけとなり、また事業改善に向かうためのきっかけとなれば幸いです。

 

今回はここまで。
お役に立てたでしょうか?

起業、融資、補助金などについて知りたいことがあれば、公式LINEからお尋ねください。匿名でのご相談にも広く対応しています。営業や勧誘は一切行いませんので、お気軽にお問い合わせください。

公式LINE:友達登録
https://page.line.me/vwf5319u

この記事を書いた人

起業家バンク事務局

起業家バンクは事業計画書の作成専門店。
起業家のみなさま、すでに経営を行っている中小企業、ベンチャー企業の経営者さまに役立つ情報を提供しています。

ブログ内の記事に関するご意見や不適切な表記については、電話番号「0120-905-061」にご連絡ください。当社にてご申告内容を確認したうえ、調査させていただきます。

「スモールビジネス成功読本」書籍販売中

LINE公式アカウントでも相談できる
(友だち登録者数 1,469) 

友達追加から
友達を追加
QRコードから