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【2024】持続化補助金の賃金引上げ枠|+50円の賃上げが必要

起業家バンク事務局

小規模事業者持続化補助金(=持続化補助金)は、販路拡大等によって生産性向上・持続的発展を目指す事業者を金銭的に補助する制度となります。持続化補助金の申請枠は複数ありますが、この記事では「賃金引上げ枠」について解説しています。

補助金を受け取るまでの流れ

小規模事業者持続化補助金の賃金引き上げ枠で申請するときの流れは次の通りとなります。補助金については「採択されたら、すぐにお金が振り込まれる」といった誤解が多いので、まず、あらかじめ全体の流れを確認しておき、補助金は後払い(事後的な入金)となることなどを知っておきましょう。

①申請に必要な書類を準備する(締切日の1~2か月前)

はじめに、申請に必要な書類を準備します。もっとも大変なのは、「経営計画書兼補助事業計画書①(様式2)」でしょう。この事業計画書の作成を含め、申請資料の作成は自分で行うこともできますし、事務作業が苦手な方は小規模事業者持続化補助金に詳しい専門家にサポートを依頼してもいいと思います。専門家のサポートを受けることで、時間や労力の削減につながるとともに、資料の不備で失格となってしまうリスクを下げることもできます。

申請資料の準備は、非常に時間がかかることも多いので、締切日の1~2か月前から少しずつ準備するようにしましょう。なお、詳細は後述していますが、この段階では従業員の賃金を引き上げておく必要はありません。賃金の引き上げは採択された後に行いましょう。

②管轄の商工会・商工会議所で「様式4」を発行(締切日の1週間前まで)

小規模事業者持続化補助金は、本店住所を管轄する地域の商工会または商工会議所の支援を受けることが必須要件となっています。小規模事業者持続化補助金は電子申請が原則となるため、電子申請システムに必要な情報を入力し、その申請画面を印刷したうえで、商工会または商工会議所に持参することになります。必要資料を持参すると、商工会または商工会議所から「事業支援計画書」(様式4)を発行してもらうことができます。

商工会・商工会議所に持参する期限は、締切日の1週間前までです。期限を過ぎてしまうと受け付けしてもらえませんので、必ず1週間前までに資料を持参するようにしましょう。また、申請期限直前になってから商工会や商工会議所へ連絡するのではなく、事前に予約をしたうえで、期限に余裕をもって持参した方がスムーズでしょう。

③電子申請システムから申請を完了する(締切日の当日まで)

小規模事業者持続化補助金の申請方法は、原則電子申請となります。郵送での申請も認められていますが、減点対象となるので電子申請を選択した方がいいでしょう。代理申請を即失格となるおそれがあるので、必ず申請者本人が自ら申請をするようにしましょう。

また、電子申請を行うためには、GビズIDというアカウントが必要となります。GビズIDを取得するにも時間がかかることがあるので、早めに取得しておきましょう。

④採択結果が発表される(締切日から2~3か月後)

締切日から2~3か月後に応募者全員に対して、採択または不採択の結果が通知されます。小規模事業者持続化補助金事務局のホームページにも採択者の一覧が公表されます。

⑤事業計画を実施する

採択されたら、申請時に提出した事業計画を実施します。この段階では補助金は交付されませんので、自己資金や一時的な借入金などを利用して事業計画を実施する必要があります。また、事業計画に記載していないことを実施しても補助金は申請されませんので注意しましょう。

⑥補助事業を完了した報告(=実績報告)を行う

事業計画がすべて完了したら、事務局に対して事業計画が完了したことを報告します。これを実績報告といいます。実績報告を行うときには事業計画に関する見積書や請求書といった証拠資料を提出するので、資料漏れが起こらないよう注意しましょう。

賃金引上げ枠の場合は、この補業計画が完了するまでに、事業場内最低賃金を+50円以上引き上げておく必要があります。この時までに賃金引上げができていないと補助金の交付を受けることはできません。

⑦補助金が交付される

実績報告で提出した資料が審査され、問題がないと判断されれば、補助金の交付が確定します。補助金が実際に入金されるのは、交付が確定してから2週間~1カ月経過後となります。

小規模事業者持続化補助金の賃金引上げ枠の要点

賃金引上げ枠は、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+50円以上とする事業者が利用できるものです。事業場内最低賃金がすでに地域別最低賃金より+50円以上を達成している場合は、現在支給している事業場内最低賃金を、さらに+50円引き上げる必要があります。

また、賃金引上げ枠を申請する事業者のうち赤字の事業者については、補助率が3分の2から4分の3に引きあがります。例えば全体の支出が180万円の場合、赤字ではない事業者であれば、交付される補助金が180万円✕3分の2=120万円の交付になるところ、赤字事業者であれば180万円4分の3=135万円と、15万円多く補助金が交付されることになります。

最大250万円が補助される

小規模事業者持続化補助金の賃金引上げ枠の補助率、補助上限額は次のとおりです。

・補助金額: 200万円
・インボイス特例: +50万円
・補助率: 3分の2(赤字事業者4分の3)

補助金の額は、全体の支出に補助率を乗じた額となります。つまり、200万円の補助を受けたい場合は、300万円を使って、その3分の2の200万円が後で補助される計算になります。

インボイス特例とは「インボイス制度」に登録した事業者(免税事業者から適格請求書発行事業者に転換した小規模事業者)となります。インボイス特例を利用する場合は補助上限額+50万円上乗せされます。

賃金引上げ枠の申請要件

1.申請時点において従業員がいること

申請時点で従業員が1人もいない場合は、賃金引上げ枠の対象となりません。そのため、申請時点であらかじめ従業員の雇用が完了している必要があります。

2.事業場内最低賃金を引き上げる計画であること

事業場内最低賃金とは、全従業員の1時間当たりの最低賃金のことです。全従業員には、パート・アルバイトなどの短時間労働者も含まれます。例えば事業内最低賃金が時給1000円の場合、時給1050円以上に引き上げる計画となります。

すでに地域別最低賃金より+50円以上の時給で雇用している場合は、現在支給している事業場内最低賃金を、さらに+50円以上に引き上げる必要があります。事業場内最低賃金の計算は、月給制、歩合制等の給与体系の場合であっても、必ず時給に換算して計算することになります。

3.追加書類を提出すること

賃金引上げ枠で申請する場合、次の追加資料が必要となります。

賃金台帳の写し

役員や専従者従業員を除いた全従業員分の直近1ヶ月分の労働基準法に基づく賃金台帳の写しが必要となります。労働基準法に基づく賃金台帳の内容については、別の記事で紹介していますので、こちらを確認しておきましょう。

労働基準法に基づく賃金台帳の写しとは 

誓約書

誓約書とは、「賃金引上げ枠の申請に係る誓約書(様式7)」のことです。宣誓書は補助金事務局のホームページからダウンロードすることができます。この宣誓書の記載方法についても、別の記事で紹介していますので、こちらを確認しておきましょう。

賃金引き上げ枠に関する宣誓書の記載方法

雇用条件が記載された書類の写し

雇用条件が記載された書類の写しとは、1日の所定労働時間、年間休日が記載された書類の写しのことになります。具体的には、雇用契約書、労働条件通知書などが該当します。

4.実績報告時までに賃金を引上げること

賃金引上げ枠で申請した場合は、実績報告時までに賃金を引き上げる必要があります。持続化補助金は各申請回において、補助事業の実施期間が定められているので、採択された事業者は補助事業の実施期間内に補助事業を終了する必要があります。

つまり、賃金の引上げに関しても補助事業終了日までに終わらせる必要があることから、採択後からおよそ半年の間に賃上げをしなければならないことになります。補助事業終了時点において、賃金引き上げ枠の要件を満たしていない場合、交付決定後であっても補助金の交付はされませんので注意しましょう。

賃金引き上げ枠に関するよくある質問

賃金引き上げ枠のよくある質問を、一問一答形式でまとめました。これから賃金引き上げ枠の申請を検討される方の参考になれば幸いです。 

Q1 「賃金引上げ枠」は「通常枠」に加えてどんな書類が必要ですか。

①直近1ヶ月分の賃金台帳(役員・※専従者を除く全従業員分)
②1日の所定労働時間、年間休日が記載された書類の写し(例)雇用契約書、労働条件通知書等
③「賃金引上げ枠誓約書」(様式7)
④(赤字事業者として申請する法人のみ)法人税申告書の別表一、別表四

Q2 賃金引き上げの対象者を教えてください。

役員・専従者を除くすべての労働者が対象です。短時間のパートやアルバイトなども対象です。

Q3 賃金引上げ枠の申請で不備があった場合、通常枠として審査されますか。

通常枠としての審査は行われません。よって、要件不備として不採択になります。

Q4 従業員1名を雇用したばかりなので、賃金台帳が提出できません。

直近1ヶ月分の賃金台帳の提出が必要となりますので、1ヶ月分の賃金台帳が提出できるタイミングで申請をすることになります。

Q5 賃金の引き上げはどのように確認されますか。

実績報告時に最新の賃金台帳を提出し、その賃金台帳と申請時に提出した賃金台帳を比較して確認を行います。補助事業終了時点において要件を満たしていない場合は、交付決定後であっても補助金の交付はされません。ただし、天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合は補助金が交付されることもあります。

Q6 賃金引上げ枠の事業場内最低賃金の算出方法について、月給制の場合の時間換算額の算出に必要な「一カ月平均所定労働時間数」の算出方法を教えてください。

次の計算式で算出します。
「1ヶ月平均所定労働時間数=(365日ー1年の休日合計日数)×1日の所定労働時間数÷12カ月」

まとめ

小規模事業者持続化補助金は地道な経営改善活動に活用がすることができる補助金です。販路開拓と賃金引上げの両方を考えている方は賃金引上げ枠の活用を検討しましょう。

今回はここまで。
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