起業家に伝えたい大切なこと

ものづくり補助金(省力化枠)で対象となるシステム開発費

起業家バンク事務局

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自社の業務プロセスや情報管理を効率化し、他社に先んじて革新的なサービスや製品を提供することは、企業の競争力を強化するうえで重要です。その手段として、社内システムの開発は有力な選択肢の1つと言えるでしょう。

ものづくり補助金では「システム開発費」も補助対象経費となりますが、補助金の対象となるシステム開発と、対象外となるシステム開発があるので、その違いを知っておくことが重要です。また、業務プロセス等の改善を目的としたシステム開発であれば、大部分がデジタル技術を活用したオーダーメイド(スクラッチ開発)となると思うので、ものづくり補助金の「省力化枠(オーダーメイド枠)」の要件も知っておきたいところです。

ものづくり補助金(省力化枠)で、システム開発費を申請するときの参考になれば幸いです。

ものづくり補助金の目的

ものづくり補助金に限らず、補助金には1つ1つ目的が定められています。そのため、まず「ものづくり補助金」という制度が何のために存在しているかを知っておくことが重要です。

ものづくり補助金の公募要領によると、ものづくり補助金の目的は「中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的な製品・サービスの開発、生産プロセス等の省力化を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援」するとなっています。

ものづくり補助金を申請するうえで細かな要件はありますが、まず、この目的に沿ったシステム開発であることが大前提です。逆に、この目的にそぐわないものは対象外とするとハッキリと明記されています。

「革新的な製品・サービスの開発」に貢献するシステム開発もあるとは思いますが、システム開発の目的の大半は「生産プロセス等の省力化を行い、生産性を向上させるため」であることが多いでしょう。そのため、この目的に沿っているシステム開発であることを、事業計画書でしっかり説明する必要があります。

省力化枠(オーダーメイド枠)とは

ものづくり補助金の省力化枠(オーダーメイド枠)の対象は、「人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入等により、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図るのに必要な設備・システム」となります。

ここでいう「デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)」とは、ICT、IoT、AI、ロボット、センサー等を活用し、単一もしくは複数の生産工程を自動化するために、外部のシステムインテグレータ(SIer)との連携などを通じて、事業者の個々の業務に応じて専用で設計された機械装置やシステムのことです。デジタル技術等を活用せず、単に機械装置等を導入する事業については対象となりません。

省力化枠の補助金額

従業員数5人以下 :100万円~750万円
6~20人 :100万円~1,500万円
21~50人 :100万円~3,000万円
51~99人 :100万円~5,000万円
100人以上:100万円~8,000万円 

補助率

補助率は次の表の通りです。小規模事業者の目安は、従業員数が5名以下(製造業の場合は、20名以下)の事業者となります。

  補助金額が1500万円まで 1500万円を超える部分
中小企業 2分の1 3分の1
小規模事業者 3分の2 3分の1

省力化枠(オーダーメイド枠)の要件

1.給与支給額を増加させること

事業計画期間(3~5年)において、給与支給総額の年平均成長率を1.5%以上増加させることが必要です。給与支給総額とは、全従業員(非常勤を含む)及び役員に支払った給与となります。給与には、給料、賃金、賞与、役員報酬等は含まれますが、福利厚生費、法定福利費、退職金などは除かれます。

2.地域別最低賃金から+30円以上であること

事業計画期間において、事業場内最低賃金を、毎年、地域別最低賃金から+30円以上の水準とすることが必要です。毎年3月時点の賃金台帳を基準として、採択後5年にわたり、最低賃金を補助金事務局に報告することになります。

3.付加価値額を増加させること

事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年平均成長率3%以上増加させることが必要です。付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を合算したものとなります。

4.労働生産性を向上させること

事業計画期間内に、設備投資前と比較して労働生産性が 2倍以上となる事業計画を策定することが必要です。労働生産性は「付加価値額(または生産量)÷(労働人数×労働時間)」で計算されます。完全自動化となる場合は、分母の(労働人数×労働時間)を便宜的に「0.1」にして計算します。

5.投資額を回収できること

事業計画期間内に、投資回収可能な事業計画を策定することが必要です。投資回収年数は「投資額/(削減工数×人件費単価)」で計算します。

6.(外部SIerを活用する場合のみ)

外部SIerを活用する場合、事業計画期間内における保守・メンテナンス契約をSIerとの間で締結することとし、SIerは必要な保守・メンテナンス体制を整備することが必要です。なお、保守・メンテナンスに係る費用は補助金の対象外です。
※契約は事業終了後、実績報告時点で確認されます。

7.(金融機関からの調達を予定している場合のみ)

本事業に係る資金について金融機関からの調達を予定している場合は、金融機関で事業計画の確認を受け、金融機関による確認書の提出が必要となります。金融機関は、事業所の所在地域にある必要はないので、任意の金融機関を選定することができます。 

まとめ

補助金を活用することでリスクを最小限に抑えながら社内システムの開発を推進することができます。補助金は、新たなビジネスモデルや収益の源泉を探求するためのリソースとして非常に有効といえるでしょう。財政的な負担を軽減し、開発プロセスをスムーズに進めましょう!

今回はここまで。
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