【2025】ものづくり補助金の重要ポイントのまとめ
2025年度、ものづくり補助金が新たな制度設計のもとスタートしました。2024年までの仕組みと比べ、申請要件に一部見直しが入り、より計画性が求められる内容へと進化しています。4000万円規模の大型投資にも対応できるようになっており、製造業はもちろん、幅広い業種にとって「挑戦」と「成長」を後押しする貴重なチャンスとなっています。
「今こそ、設備投資や革新的な取り組みに踏み出したい」
そんな想いを抱えている経営者や担当者の皆様にとって、今回の制度変更は必ず押さえておきたいポイントです。本記事では、制度の概要から押さえるべき変更点、採択されるためのポイントまで、わかりやすく解説していきます。
申請枠
2025年度のものづくり補助金は、企業の取り組みに応じて2つの申請枠が用意されています。次のとおり、「国内での革新的開発」か「海外事業を伴う展開」かによって選ぶ申請枠が異なります。自社の取り組みに合った枠を選び、しっかりと申請準備を進めることが重要です。
製品・サービス高付加価値化枠
対象となる取組みは、革新的な新製品・新サービス開発に必要な設備・システム投資などで、「既存製品の改良」や「生産工程の改善」については対象外となります。また、同業他社に既に普及している製品・サービスの開発も対象外となります。
補助額(下限は100万円)
従業員5人以下⇒ 最大750万円
従業員6~20人⇒ 最大1000万円
従業員21~50人⇒ 最大1500万円
従業員51人以上⇒ 最大2500万円
補助率
中小企業⇒ 2分の1
小規模企業・再生事業者⇒ 3分の2
グローバル枠
対象となる取組みは、海外展開に関する事業を実施し、国内の生産性を高めるための設備・システム投資で、海外への直接投資に関する事業、海外市場開拓(輸出)に関する事業、インバウンド対応に関する事業、海外企業との共同で行う事業などが対象です。
補助額(下限は100万円)
最大3,000万円(※補助下限額は100万円)
補助率
中小企業⇒ 2分の1
小規模企業・再生事業者⇒ 3分の2
補助対象者
主に補助金の対象となるのは、以下の要件を満たす中小企業、小規模事業者となります。
基本要件
日本国内に本社があり、補助事業の実施場所(工場・店舗など)も日本国内にあること。グローバル枠で「海外直接投資」を行う場合は、国内と海外両方に補助事業実施場所が必要となります。なお、補助事業の実施場所とは補助対象経費となる機械装置等を設置・管理する場所のことで、建設中の場所や、土地だけ確保している場合は対象外です。賃貸物件の場合は、賃貸借契約書などで使用権を明確にしておく必要があります。
小規模企業者・小規模事業者の定義
小規模企業・事業者の場合、補助率が3分の2と手厚くなります。小規模企業者・事業者の定義は、製造業等ならば、 常時使用する従業員数が20人以下、商業・サービス業であれば、常時使用する従業員数が5人以下の事業です。要件は細かいので、申請前に、しっかりと自社の状況をチェックしておきましょう!
基本要件
ものづくり補助金に申請する際は、次の基本要件①〜③(④は対象者のみ)を全てを満たしている必要があります。ものづくり補助金は、事業成長+給与改善+最低賃金引き上げを一体で求められる制度設計となっているため、特に、目標達成できなかった場合の補助金返還リスクには十分注意が必要です。
基本要件① 付加価値額の増加
ものづくり補助金に申請するときに、3~5年の事業計画書を作成して提出します。その際、付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)を年平均3.0%以上の成長率で増加させる計画書を作成することが必要です。申請時に目標値を設定し、計画期間の最終年度に達成が必要となります。
基本要件② 賃金の増加
※未達成の場合、補助金返還
3~5年の事業計画期間において、給与支給総額の年平均成長率2.0%以上、または1人あたり給与支給総額が、各都道府県の最低賃金年平均成長率以上の計画書を作成することが必要です。両方の目標値を設定し、両方とも達成できなかった場合は、補助金の返還が必要となります。
基本要件③ 事業所内最低賃金の引上げ
※未達成の場合、補助金返還
3~5年の事業計画期間において、事業所内最低賃金を、都道府県の最低賃金より毎年30円以上高く設定することが必要です。目標を表明し、達成できなかった場合も補助金の返還が必要となります。
基本要件④ 一般事業主行動計画の登録
従業員21名以上の場合のみ、一般事業主行動計画」を策定・公表し、両立支援のひろばに登録することが必要です。策定から公表まで1~2週間かかるため、早めに準備をしましょう。
追加要件
グローバル枠に申請するには、上記の基本要件に加えて、次の要件を満たす必要があります。グローバル枠は通常枠に比べ、より高い実行力と計画性が求められます。事前に必要書類や調査をしっかりと準備することが、申請成功のカギとなります。
海外直接投資に関する事業
海外への直接投資等に関する事業とは、例えば、国内事業と海外事業の双方を一体的に強化し、グロー
バルな製品・サービスの開発・提供体制を構築することで、国内拠点の生産性を高めるための事業をい
います。追加要件は、次の4つです。
⚫ 国内に所在する本社を補助事業者として、補助対象経費の2分の1以上が海外支店の補助対象経費となること
⚫ 国内事業所においても、海外事業と一体的な機械装置等(単価50万円以上)の設備投資をすること
⚫ 応募申請時に、海外子会社等の事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料を提出すること
⚫ 実績報告時に、海外子会社等との委託(貸与)契約書とその事業完了報告書を追加提出すること
海外市場開拓(輸出)に関する事業
海外市場開拓(輸出)に関する事業とは、例えば、海外展開を目的とし、製品・サービスの開発・改良、ブランディングや新規販路開拓等に取り組む事業をいいます。要件は次の3つです。
⚫ 国内に補助事業実施場所を有し、製品等の最終販売先の2分の1以上が海外顧客となり、事業計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること
⚫ 応募申請時に、事前のマーケティング調査に基づく、想定顧客が具体的に分かる海外市場調査報告書を提出すること
⚫ 実績報告時に、想定顧客による試作品等の性能評価報告書を提出すること
インバウンド対応に関する事業
インバウンド対応に関する事業とは、例えば、製品・サービスの開発・提供体制を構築することで、海
外からのインバウンド需要を獲得する事業をいいます。要件は次の3つです。
⚫ 国内に補助事業実施場所を有し、製品・サービス等の販売先の2分の1以上が訪日外国人となり、事業
計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること
⚫ 応募申請時に、想定顧客が具体的に分かるインバウンド市場調査報告書を提出すること
⚫ 実績報告時に、プロトタイプの仮説検証の報告書を提出すること
海外企業と共同で行う事業
海外企業と共同で行う事業とは、例えば、外国法人との共同研究・共同事業開発により、新たに成果物
を生み出す事業です。要件は次の3つです。
⚫ 国内に補助事業実施場所を有し、外国法人と行う共同研究・共同事業開発に伴う設備投資等があり、その成果物の権利の全部又は一部が補助事業者に帰属すること(外国法人の経費は、補助対象外)
⚫ 応募申請時に、共同研究契約書又は業務提携契約書(検討中の案を含む)を提出すること
⚫ 実績報告時に、当該契約の進捗が分かる実績報告書を提出すること
補助金の対象となる使いみち
補助金は事業計画を実行するために必要な設備投資の費用などに対して、広く補助が行われます。費用の使いやすさを含めて、補助対象となる経費項目について、具体的な内容や注意点を解説します。
機械装置・システム構築費 〇 使いやすい
ものづくり補助金では、機械装置・システム構築費がメインとなります。事業に必要な機械設備や情報システムの構築であれば、ほとんどが対象となります。なお、機械装置の据付費も対象となりますが、新たに購入する機械装置の設置と一体で捉えられる軽微なもの(設置場所に固定等)に限られ、設置場所の整備工事や基礎工事などは含みません。
外注費 ▲ やや使いづらい
新製品・新サービスの開発に必要な加工や設計(デザイン)・検査等の一部を外注(請負、委託等)する場合に、その外注費が対象となります。外注費を申請するシーンが限られており、また、補助金全体の2分の1までという上限が設けられているので、やや使いづらい経費となります。
専門家経費 ▲ やや使いづらい
技術的な指導や助言が必要な場面では、学識経験者やコンサルタント、フリーランスの専門家に支払う報酬や旅費など、いわゆる専門家経費が対象となります。外注費と同じ、専門家経費を申請するシーンが限られており、また、補助金全体の2分の1までという上限が設けられているので、やや使いづらい経費となります。
クラウドサービス利用費 ✕ 使いづらい
サーバー代などのクラウドサービスの利用に関する費用も補助対象になります。今回の事業計画以外の事業(本業)と共用する場合は対象外となり、補助対象となるのは、事業実施期間のみなので、申請の手間に比べて効果が薄く、使いづらい項目といえます。
まとめ
2025年4月から新たな形でスタートした「ものづくり補助金」。制度の変更点を正しく理解し、自社の取り組みに合った申請枠を選び、しっかりと事業計画を立てることが成功への近道です。大型の補助金を活用できるこのチャンスは、まさに企業の未来を切り拓くための大きな一歩となります。新たな挑戦に踏み出す今だからこそ、補助金を賢く活用し、さらなる成長へとつなげていきたいものですね。
本記事が、皆様のものづくり補助金申請の一助となり、
そして貴社の次なる飛躍のきっかけとなることを心より願っています!
今回はここまで。
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