思わぬ落とし穴!こんな運転資金で融資を受けると危険!

ストップ!

経営者ならば、運転資金の融資を銀行に申し込むこともあると思います。

その運転資金は何に使うのでしょうか?
もしかすると事業者を苦しめる「危険な運転資金」を借りようとしているかもしれません。

運転資金の融資を受ける前に、ぜひ当記事に目を通して欲しいと思います。

 

運転資金とは

そもそも運転資金とは何か?

運転資金とは、事業を運営(運転)するのに必要な資金のことです。
具体的には、商品の仕入れ代、人件費、家賃、外注費、光熱費などに使われる資金が運転資金となります。

 

運転資金の対になるのが「設備資金」です。設備資金とは、店舗、営業車、OA機器など資産性のある設備を購入する資金のことです。

運転資金と設備資金を使い分ける理由

銀行に融資を申し込むとき、運転資金で使うのか、設備資金で使うのか、説明しなければなりません。

 

では、なぜ銀行は運転資金と設備資金を使い分けているのでしょうか?

理由は単純で「運転資金と設備資金では、審査方法が異なるから」です。

 

決算書で言えば、損益計算書(P/L)に計上される費用が運転資金、貸借対照表(B/S)に計上される費用が設備資金となります。

計上先が違うということは資金の性格が違うということです。資金の性格が違うということは、その融資金に期待する効果も違います。

 

ここら辺は少し難しい話になるので、また改めて記事にすることにしましょう。

とりあえず心の片隅に置いて欲しいのは、ひとくちに融資を受けるといっても、運転資金と設備資金の2パターンあるよ、ということです。

 

「運転資金の融資を受ける」とは

運転資金とは、商品の仕入れ代、人件費、家賃といった費用に使われる資金でした。

つまり「運転資金の融資を受ける」とは、仕入資金、人件費、家賃などを支払うのための資金を銀行から借りるということです。

 

運転資金が必要になるとき

安全な運転資金

経営者はどのようなときに運転資金を借りたいと思うのでしょうか?

ここでは代表的な5つの例を紹介します。

 

1.つなぎの資金

事業内容によっては、商品を売っても、すぐにお金を貰えないことがあります。また工事やwebの制作といった商売は、仕事が完成するまでお金を貰うことはできません。

後々お金は貰えるのですが、入金がある前に支払う費用が発生すると、どうしても手元資金が苦しくなります。このような商売では、順調に売り上げが伸びるほど資金繰りが苦しくなります。

 

このようなとき「つなぎ資金」として運転資金が必要になります。

2.事業拡大のための資金

売上を伸ばしたいとき、既存事業を拡大したり、新しい事業を展開したりします。
このようなとき「事業拡大資金」として運転資金が必要になります。

大口の仕事を受けるために社員を雇い入れるなど運転資金のみ必要になることもあれば、新店舗を増設するなど設備資金を伴うこともあります。

3.季節性の資金

季節要因で、一時的に支払いが増える月が生じることがあります。例えば、賞与や年末商戦のために使用する資金です。

このようなとき「季節性の資金」として運転資金が必要になります。

4.返済をソフトランディングさせる資金

すでに銀行から借り入れしている事業者は、定期的に資金を補充しなければ、資金が一方的に出ていくだけとなります。

このようなケースでは、返済した金額の範囲内で新たに融資を受けることで、資金の流出をソフトランディングさせることができます。

このようなとき「返済をソフトランディングさせる資金」として運転資金が必要になります。

5.おまとめ資金(借り換え資金)

複数の銀行から借り入れをしているときは、返済が複数口となります。これを一口にまとめてしまえば、支払いが一本化して返済が楽になります。

 

このようなとき「おまとめ資金」として運転資金が必要になります。

 

 

 

以上、事業者が運転資金を借りるときの代表的な5つの例を紹介しました。

 

この5つ中に、事業者の命運を決めてしまうほど「危険な運転資金」に類似するものがあります。

 

みなさんは分かりますか?

 

危険な運転資金

危険な運転資金

危険な運転資金の答え

危険な運転資金になりうるのは「事業拡大資金」です。単なる事業の拡大資金ではなく、借入依存度の高い、事業の急拡大資金です。

 

残りの「つなぎ資金」「季節性の資金」「返済をソフトランディングさせる資金」「おまとめ資金」は、比較的リスクの少ない運転資金といえます。

 

なぜ危険なのか?

事業の急拡大にはリスクがある

事業を急拡大するとリスクが高まります。

その理由は「事業が拡大するスピードに組織体制が追い付かないから」です。
組織体制を整えられない理由は「ヒト」と「カネ」に対して目が届かなくなるから(=管理できなくなるから)です。

 

事業規模が大きくなると経営者一人で全体を見渡すことができなくなります。
そのため、自分の分身となるヒトが必要になりますが、ヒトはそう簡単に育ちません。
また取り扱うカネが大きい場合、管理が一段と難しくなります。

 

事業の拡大スピードが速いと、組織体制が整わないまま走ることになり、正常な事業運営ができなくなります

返済の原資はどこから?

基本的に事業拡大のために融資を受けるならば、事業拡大によって生まれた利益で返済分をまかなわなければなりません。

 

しかし、組織体制が整わないまま利益を出すのは非常に難しいといえます。

また、借り入れ依存度が高いと、返済が高額となり、さらに返済は難しくなります。組織体制が整っていないにもかかわらず、100戦100勝の闘いを強いられるようなものです。

新たな運転資金の借入ができない

「事業拡大資金」を借り入れして資金難となった場合、すでに銀行の融資枠は上限に達しているケースが多いといえます。

 

事業が拡大すれば、すぐに融資枠が広がると考えがちですが、
事業の拡大スピードと「同じ速さ」で、融資枠は広がりません

つまり売上が急増したとしても、すぐに新しい融資ができるわけではないのです。この点は、ぜひ押さえておきたいポイントです。

新たな運転資金が借入できないとどうなる?

事業拡大資金」で融資枠を使い果たした場合、「つなぎ資金」も「季節性の資金」も出ないことになります。また返済が始まって間もない時期であれば「返済をソフトランディングさせる資金」も出ません。

当然ですが、必要な設備が故障したとしても、設備資金は出ません

 

 

 

 

以上で、どのような運転資金が安全で、どのような運転資金が危険なのかお分かりいただけたと思います。

銀行が貸してくれるからといって、イケイケどんどんで事業を拡大してはいけません。事業を拡大するときは、事業拡大計画の2分の1から3分の1ぐらいは自己資金で準備するように心がけましょう。

 

 

今日はここまでにします。

なお、起業家・起業5年以内の経営者にぜひ目を通して欲しい記事がこちらです。当記事の理解がもっと深まると思います。

関連記事:
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この記事を書いた人

maezono

前薗 浩也

中小企業診断士、1級ファイナンシャルプランナー技能士、MBA。

日本政策金融公庫で起業家・中小企業向けの融資審査に16年間従事。この間の支援実績は7,000社を大きく超える。
審査員時代、起業して数年で経営破綻していく事業者たちを目の当たりにする。審査員でありながら起業家・中小企業を上手く経営支援できない自分に思い悩み大学院へ進学。そこで「起業の成功要因」を研究し論文を執筆する。
独自に積み上げた知見に基づき、自らも起業。現在は全国の起業家・中小企業を対象に「新事業の立ち上げ・売上の定着化」に特化した支援活動を行う。

2017年、一人で起業する「一人起業家」を専門にサポートする起業家バンクを設立する。

 

 

 

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すべて前薗浩也が執筆または監修しています。

主に起業家・起業後5年以内の経営者に役立つ情報を発信しています。

 

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