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日本公庫・信用金庫・地方銀行、どこから融資を受けるべきか?

メガバンカー takuo

中小企業にとって安定的な資金調達は重要な経営課題です。この資金調達の最も代表的な方法は、「金融機関の融資」といえるでしょう。金融機関には政府系の金融機関である日本政策金融公庫のほか、非営利法人の信用金庫、商業銀行である地方銀行などがあります。それぞれサービスの内容や金利などの条件が異なるので、違いを明確した上で自社の経営状況を考慮して、融資を受ける金融機関を選びましょう。

この記事では日本政策金融公庫、信用金庫、地方銀行の特徴やどの金融機関から融資を受けるべきかについて解説します。

日本政策金融公庫の融資の特徴

起業を志したことがある方は一度は名前を聞いたことがあるかもしれません。
日本政策金融公庫とは2008年に株式会社日本政策金融公庫法に基づいて設立された政府系金融機関です。政府が100%出資する政府系金融機関であり、民間の金融機関から融資を受けられない中小企業や起業を検討している方への融資を行っています
「公庫」という略称で知られ、民間の金融機関の補完的な役割を担っています。日本政策金融公庫の融資の特徴は以下のとおりです。

● 融資のハードルが低い
● 金利が低い
● 無担保・無保証で融資が受けられる

それぞれの特徴について具体的に見ていきましょう。

融資のハードルが低い

創業間もない時期や初めて融資を受ける場合にメガバンクや地方銀行などの民間の金融機関に融資の相談をしても断られてしまう可能性が高いです。
しかし、日本政策金融公庫は「民間の金融機関の補完」という役割を担っていますので、銀行のプロパー融資と比べて融資が受けやすいです。したがって、民間の金融機関の融資を断られても日本政策金融公庫に融資の相談をしたら審査に通過したという話も多くあります

金利が低い

民間の金融機関はあくまで商業銀行ですので、金利が高めに設定されています。しかし、金利の負担が重いと返済のハードルが上がり、事業運営の負担になりますよね。
一方、日本政策金融公庫の融資制度は概ね1~2%と金利が低く設定されています。金利や借入条件が中小企業にとって有利に設定されているので、返済が負担になりません。

無担保・無保証で融資が受けられる

日本政策金融公庫の融資制度の特徴は、無担保・無保証で融資を受けることができることです。民間の金融機関から融資を受ける場合には、担保の提供を求められることが多いといえます。この場合、返済ができなくなり、債務不履行となると担保に供した不動産を失うこととなります。
しかし、日本政策金融公庫の無担保・無保証融資であれば、申請者の自己資金や事業計画など総合的に判断して、融資を受けることができます。

信用金庫の融資の特徴

信用公庫は信用公庫法に基づき設立された協同組織金融機関であり、「信金」という略称で知られています。一般的な商業銀行と異なり、会員の出資による協同組織の非営利法人となっています。
地域の方々が利用者・会員となって互いに地域の繁栄を図る相互扶助を目的とした協同組織の金融機関で、主な取引先は中小企業や個人です。利益第一主義ではなく、会員すなわち地域社会の利益が優先されます。信用金庫の特徴は以下のとおりです。

● 中小企業が顧客ターゲット
● 非営利法人
● 地域性
● 長期的な目線で見てくれる

それぞれの特徴について具体的に見ていきましょう。

中小企業が顧客ターゲット

信用金庫の顧客層は中小企業及び個人に限定されており、大企業への融資業務を行っていません。
民間の金融機関は商業銀行ですが、信用金庫は地域経済の発展に寄与するという目的から個人や中小企業の融資相談に積極的に乗ってくれます
業績や財務状況などに関係なく融資を受けられるというわけではありませんが、銀行のメインターゲットとならない事業者をカバーしています。

非営利法人

信用金庫は協同組織金融機関であり、地域の振興を目的としています。
株式会社である民間の金融機関は株主の利益を最優先するため、利益拡大のために大企業や採算のとれる企業を中心に取引をします。
しかし、信用金庫は地域に住む人が会員となり、互いに地域の繁栄を図る相互扶助を目的としていますので、商業銀行が相手にしたがらない個人や中小企業であっても融資に積極的に応じてくれます

地域性

全国に支店を持つメガバンクであれば、日本全国を営業地域としていますが、信用金庫は営業地域が地域社会に限定されています。したがって、地域密着型の金融機関であるという意味において地方銀行と似ています。地域社会への利益還元を目的として地域内で資金を循環させています。

長期的な目線で見てくれる

金融機関は企業の業績の推移や財務状況、資金計画などを判断材料として融資の可否を決定します。民間の金融機関は商業銀行であり、融資した資金が返済されることを重視していますので、審査時点で経営状況が芳しく無ければ、融資不可とされてしまいます。
しかし、信用金庫は非営利法人ですので、経営状況が良くなくても多少リスクをとってでも融資をしてくれる可能性があります

地方銀行の融資の特徴

地方銀行とは各都道府県に本店を構える特定地域を営業地域としている普通銀行です。地方銀行には「第一地方銀行」と「第二地方銀行」があり、第一地方銀行は「全国地方銀行協会」に、第二地方銀行は「第二地方銀行協会」にそれぞれ加盟しています。
長年、地域経済の発展に貢献してきましたが、近年では地域経済の停滞や人口減少の急速な進行によって経営環境が悪化し、再編・統合が話題になっています。
地方銀行の主な特徴が以下のとおりです。

● 商業銀行である
● 地域密着型

それぞれの特徴について具体的に見ていきましょう。

商業銀行である

地方銀行は日本政策金融公庫や信用金庫床となり、商業銀行です。株式会社の経営形態を採用しており、株主に利益を還元することを目的としています。したがって、融資した資金が返済されることを重視しており、業績や財務状況を厳しくチェックされる傾向にあります。
創業間もない中小企業や個人事業主の場合は信用力がないので、融資を受ける難易度は上がることになります

地域密着型

地方銀行は各都道府県に本店を構えており、地域に根ざした営業活動を行っています。
メガバンクは日本全国に支店を構えており、大企業や地域を代表する企業へ金融サービスを提供していますが、地方銀行は地域の個人や中小企業に密着した金融サービスを展開しています。
資金の調達先も地域の個人預金の割合が高く、運用方法も地元企業への貸出金の割合が圧倒的に高くなっています。つまり、地域で資金を調達し、再び地域に還元することで経営を成り立たせています

どの金融機関に融資を申し込めばよいか

融資を受けるにあたってどの金融機関を選ぶべきかは自社の規模や業歴などに左右されますが、創業間もない中小企業や個人事業主の場合は信用力が劣るので、信用金庫や地方銀行からプロパー融資を受けることは難しいでしょう
一方で日本政策金融公庫は政府出資100%の金融機関であり、創業間もない中小企業やこれから起業をする方向けに積極的にリスクマネーを投入していますので、創業期は日本政策金融公庫の融資を利用するのがいいでしょう
日本政策金融公庫の次に融資を検討するのが信用金庫です。地方銀行やメガバンクなどの商業銀行は創業期の中小企業への融資に消極的ですが、信用金庫であれば、非営利法人・地域密着型のメリットを活かして、積極的に融資の対応をしてくれます

まとめ

どの金融機関から融資を受ければよいのかわからない場合は、複数の金融機関に融資の相談をしましょう。融資の難易度として日本政策金融公庫→信用金庫→地方銀行やメガバンクなどの商業銀行となりますが、複数の金融機関に申請することで融資の成功確率を上げることができます。
また、一つの金融機関から融資の希望額を満額受け取ることができない場合がありますので、複数の金融機関に分散して融資を受けることで、合計で融資の希望額を満たすことができます

信用金庫や商業銀行は日本政策金融公庫と比べれば融資に消極的ですが、日本政策金融公庫から融資を受けることが呼び水となり、信用金庫や商業銀行が融資の判断をしてくれることもあります。
みなさまの満足のいく資金調達を祈念しています!

 

今回はここまで。
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この記事を書いた人

メガバンカー takuo

某メガバンクに勤務していたバンカー。窓口業務・融資・資産承継・事業承継など、あらゆる仕事でハイレベルな実績を残す。起業家や経営者の成功を願い、現役のときには話せなかった独自のノウハウを紹介する。

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