起業家に伝えたい大切なこと

飲食店の開業準備に一番大切なこと

木村 美季

2019.11.01

 

初めまして。
10年以上続く飲食店総合サポートコンサルタントの木村美季と申します。

以前は地元の大阪で、飲食店経営を夫婦で始め
(夫は料理人、私はほぼ素人からスタート)15年間女将をしておりました。
その後、飲食店専門コンサルタントとして起業し現在に至ります。

 

コンサルタントとはいえ、少し変わっていて?
通常のコンサルティングに加え、店舗様の制服を着用し、
開業準備や開業日、または営業中に実際に勤務しながら、
スタッフの方、時にはオーナー様やシェフにサポートや指導もしております。

 

そんな私から、今回は「飲食店の開業」をテーマにお伝えさせていただきます。

 

飲食店の開業準備というのは、細かいことまでいれると約200事項くらいあります。
その中でも、私は「集客の準備」が一番大事だと言い切ります。
※「資金調達(お金の準備)」と「メニュー作り(の準備)」は当然重要と、ご理解下さい

 

ですので「開業前から集客準備を開始」されることを、ぜひおすすめします。

 

お話しを進める前に、先にお伝えしたいことがあります。
開業準備中の方には厳しい現実ですが、飲食店の廃業率(潰れる確率)について、
このようなデータがあるのです。

▼1年未満で廃業・・・34.5%
▼1~2年で廃業・・・15.2%
▼3~5年で廃業・・・21.0%
(2008~2013年 居抜情報.COMより引用)

 

上記の他にも、似たような数字で廃業率が発表されているデータも複数存在します。
そして、開業してから、10年続く飲食店は、一割と言われています。
このように、飲食店は続けることは難しく、潰れる確率が異常に高い業界です。

 

ですが「開業前から集客を開始」すれば、少なくとも早期での廃業、という事態は免れます。
その後、上手くいけば10年以上続けられることも夢ではありません。

では具体的に、どんな「開業前の集客準備」をすれば良いのでしょうか?
以下にまとめてみました。

 

開業前に必要な5つの集客準備

※理想の準備順

① 名刺を作る
② SNSを開始する
③ 交流会等に参加する
④ SNSを活用する
⑤ 主催イベントを開始する

では、解説していきましょう。

 

① 「名刺を作る」

まず、あなたが「どこの誰か?」「何をしている人か?」「どんな夢があるのか?」「連絡先は?」等、最初のうちは最低限の情報で良いので、上記を記載した名刺を作成して下さい。この時点で名刺にお金をかける必要はありません。自宅で作成したり、ネットで安い業者さんを探しましょう。そして出来上がった名刺は、必ずカバンに入れて持ち歩くこと。あちこちばら撒くのは嫌われますが、自己紹介の時に「カフェの開業準備をしています。」等、付け加えると、一人二人と名刺交換をする機会が増えてきます。
また意外かもしれませんが、この時期にたまたま知り合った業者さんが後々、取引業者さんになったりもします。いろんなシチュエーションで、名刺が役立ちます。

②「SNSを開始する」

※①と②は逆でも構いません。始めやすい方からスタートしてください。

SNSについては、今の時代においては開業したら必ずやらなければいけない宣伝ツールです。
苦手な方は今のうちにSNS自体に慣れることから始めましょう。そういった方は、アカウントを持ちつつ、しばらくは発信せず「見ている(観覧している)だけ」でも構いません。そして先に作成した名刺の次の発注の時に、名刺の内容の更新と一緒にSNSのアカウント連絡先も記載しましょう。(差し障りのない範囲で)
SNSを利用したことがない方は、想像が難しいかもしれませんが、SNSはリアルの世界と違って、お互いの様子が分かることが多く、独特の世界観があります。
上手に利用できれば、ここでもあなたの夢を応援して下さる方が増えるでしょう。

③「交流会等に参加する」

慣れないうちは、無料や安めの交流会で充分です。ただし特に最初のうちは「どこの団体(または誰)が主催の交流会か?」しっかりチェックしましょう。安心なのは都道府県や市町村、または商工会議所などが開催している、異業種交流会やセミナー、勉強会などです。理想は最低でも月に2回くらいは参加しましょう。

④「SNSを活用する」

①②③と進んできたら、そろそろSNSで「私の開業への道(仮)」のような、投稿など重ねていきましょう。
例えば「自己紹介」「夢や目標(開業に関すること)」「開業準備ネタ」等、最低でも一週間に一度くらい、発信を続けていると、あなたのことを応援してくれたり、気にかけてくれる人がもっと増えていきます。この時期にWEB上で繋がった方々は、いざ開業が決まったら「開業準備中」「開業当日」「開業後」と、喜んでWEB上で宣伝してくれます。また実際に足を運んで下さる方々も多いです。

⑤「主催イベントを開始する」

自分のことを応援してくれる仲間が10名を超えてきたら、小さくても良いので、自分が主催のパーティーやイベントなどを計画してみましょう。目的は「あなたを中心とした」仲間同士の交流や、絆を深めていただくこと(あなたの開業を応援するチームのメンバーとして結束力が生まれます)。この辺りから「巻き込み集客」の開始です。同時にイベントの「計画と準備、そして当日仕切ること」を経験したり、考え中のメニューを、試食してもらったり、と「イベント主催」を繰り返すと「開業後に役立つ気づき」が体験できるだけではなく「知り合いが濃厚な常連様候補」に変化していきます。可能なら数ヶ月に一度、開催し続けましょう。
繰り返していると参加して下さった方は、あなたのお店が開業するのを、待ち望んでくれるようになります。

 

以上が、ぜひ実行いただきたい「開業前の集客準備」です。
①~⑤までは、最低一年くらいかけて準備されるのが理想です。

正直「面倒くさい!」と感じた方も多いかと思いますが、ここまで準備しても、どうなるか?誰にも約束できません。ですが、これらの「開業前の集客準備」を、やるとやらないとでは「開業直後からの3ヶ月の売上げ」が変わります。

 

「美味しい料理を提供していれば、お店は流行る。」と思っている経営者、オーナー、シェフがとても多いのですが、残念ながらお客様は「料理が美味しい、だけ」ではそう簡単に来店して下さいません。

 

落ち込むくらい、自分のお店というのは知られてないものなのです。
原因は簡単で「集客(宣伝)の努力不足」だからです。
多くの飲食店は「開業してから」集客(宣伝)を開始しますが、正直それでは遅いのです。

「開業前の集客準備」を全くやらず開業したら「開店ラッシュ」で賑わうのは、せいぜい1~2ヶ月くらい。

ですので、上記のように地道に、出来れば二~三年かけて集客準備されると、スタートした後お店の賑わいもしばらく続きますので、その間に並行して、新規顧客(店舗付近を生活導線にされている一般の方など)の獲得を全力で取り組んで下さい。

冒頭でお伝えしましたが、開業してから一年未満で約3分の1のお店が潰れています。開業前から、家族や友人・知り合いで、あなたの応援団(ファン作り)を確立し、開業後+新規顧客獲得、という流れでぜひお店の寿命を延ばしましょう。

 


この記事を書いた人

木村 美季
10 年以上続く飲食店開業・運営コンサルタント
一般社団法人 日本ほめる達人協会 特別認定講師
ミラサポ(中小企業庁)専門家派遣講師
大阪産業創造館 経営相談室あきない・えーど 登録専門家


大阪府茨木市在住。女将歴 15年。飲食店の女将として 10 年間の夫婦営業。
2010 年に夫が急逝。
その後、自身の体験を活かし、飲食専門コンサルタント&講師として起業。
現在は開業や廃業支援(売上げアップ)の他、人材育成にも携わる。
開業サポート実績は、居酒屋・日本酒メイン創作料理・中華料理・日本酒メイン創作料理居酒屋・日本酒メイン bar・カフェ ・ シェアルームカフェ・ブックカフェ・モデルルーム併設カフェ ・海鮮丼居酒屋 など、小さな個人経営の飲食店が多い。

 

 


起業家バンクのwebサイトへ


ブログ内の記事に関するご意見や不適切な表記については、info@kigyouka-bank.com にご連絡ください。当社にてご申告内容を確認したうえ、調査させていただきます。

 

 

「スモールビジネス成功読本」書籍販売中

LINE公式アカウントでも相談できる
(友だち登録者数 1,469) 

友達追加から
友達を追加
QRコードから