起業家に伝えたい大切なこと

フランチャイズで起業するメリット・デメリット

起業家バンク事務局

2018.08.31

起業支援をしていると、たまに「フランチャイズで起業するのはどうでしょうか?」という相談を受けることがあります。フランチャイズで起業を検討する起業家の特徴は、どんなビジネスをするか決めていない人、裏を返せば、どんな仕事もできる器用で能力の高い人が多いと考えています。

フランチャイズは起業方法のひとつですが、フランチャイズで起業してもいい場合とダメな場合があります。この記事ではフランチャイズのメリット・デメリットを整理しつつ、フランチャイズで起業することの是非について解説していきます。

フランチャイズとは?

フランチャイズとは、価値のある商品や経営ノウハウなどを他社に提供して事業を拡張する方法です。商品や経営ノウハウを提供する事業者を「フランチャイザー」といい、これらの提供を受ける事業者を「フランチャイジー」と呼びます。

フランチャイズの構造

ひとくちにフランチャイズといっても契約形態は多様です。しかし、「フランチャイズ本部が持っている経営ノウハウを、フランチャイズに加盟する事業者が対価を支払って使用する」という構図はどれも同じです。このときに支払う対価をロイヤリティと呼び、「売上の○○%を支払う」といった金銭で支払うケースもあれば、商品仕入、情報の提供、シェアへの貢献といった金銭以外の形で負担することもあります。

フランチャイズ本部も加盟店も、ひとつのブランドの下で活動することになるため、商品メニュー、価格帯、仕事のやり方などは基本的に統一されます。代表的なフランチャイズビジネスであるコンビニ(セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートなど)をイメージすれば、フランチャイズがどのような形態か理解しやすいのではないでしょうか。

フランチャイズ起業のメリット

起業家の視点からフランチャイズ起業のメリットを整理します。

1.経営ノウハウが手に入る

経営ノウハウを売って事業を拡張したいフランチャイズ本部と、お金を支払ってノウハウを手に入れたい加盟店との利害関係が一致したのがフランチャイズ契約でもありますから、経営ノウハウの取得は、フランチャイズビジネスの最も大きなメリットのーつといえます。

どうすれば儲かるか、何をすれば失敗するかなど商売の根幹に関することは、本来、時間・労力・金銭をかけて少しずつ積み上げていくものですが、フランチャイズ契約を結ぶことで、企業秘密ともいえる核心部分が簡単に手に入りますお金で時間とノウハウを買うイメージですね。

フランチャイズ本部が大手企業だと研修制度が充実しているので短期間でノウハウを身に着けることができます。また本部主導で経営アドバイスをしてくれるため難しい経営分析を行うことなく商売に専念できるというメリットもあります。

2.起業直後から売上が立ちやすい

フランチャイズ本部が築いてきたブランド(信用力)を利用できるため、自分でブランドを立ち上げるよりもお客さんが付きやすくなります。そのためフランチャイズは起業直後から売上が立ちやすいという特徴があります。
通常、起業家は資金力が十分ではなく、売上が立つのが遅いほど資金繰りがひっ迫します。そのため、スピーディに売上が立つというのは起業家にとって大きなメリットです。

ただし、ここでいう売上が立つというのはあくまでも売上の話であって「黒字になる」という意味ではないことに注意してくださいね。黒字になろうが赤字になろうが売上が立つということ自体が起業家にとって、とても重要な1歩(マイルストーン)なのです。

3.スケールメリットの特典が受けられる

フランチャイズ本部のスケール(規模)が大きいと、販促活動や福利厚生といった面で特典を受けられることがあります。たとえば本部主導でイベントを開催してくれたり、共同でチラシやポスターを発注してくれたり、事務用品等を定価より安く買えたりします。
また福利厚生の面でも、生命保険料の軽減、健康診断の費用補助など様々な特典を受けられることがあります。

 

フランチャイズ起業のデメリット

起業家の視点からフランチャイズ起業のデメリットを整理します。

1.社運をフランチャイズ本部に握られる

フランチャイズ本部と加盟店の関係はポジティブな言葉を使えば一蓮托生、ネガティブな言葉を使えば服従関係です。いずれにせよ本部が事業運営に関するほぼ全ての決定権を持つため、本部が経営難となれば何らかの形で金銭的な負担が増えますし、経営方針の転換があれば自分の方針に合わなくても従わざるを得ません。
フランチャイズは社運を他社に握られるというリスクを負い、いくら経営努カしても自助努力では解決できないことも生じます。これがフランチャイズの最大のデメリットです。

業績によってフランチャイズ契約が打ち切られることもある

フランチャイズビジネスを積極的に行っていて業績が低迷した企業として有名なのは、たとえば大手ドーナツチェーン店などが挙げられますが、業績が低迷したときに加盟店に何かできるかというとほとんど何もできないのが現実です。指をくわえて歯がゆい思いをしながら本部の方針を見守ることしかできず、事業の存続も廃止も本部の決定にゆだねられることになります。

2.自分で起業するよりコストがかかる

基本的にフランチャイズビジネスは自分で起業するよりもコストがかかると考えておきましょう。そのコストは加盟料やロイヤリティといった金銭的なコストかもしれませんし、労働サービスの提供といった労働コストかもしれません。
フランチャイズ本部は経営ノウハウを開示する見返りとして何らかの対価を求めます。結局、その対価が発生するため自分で起業するよりコスト高となるのですが、経営ノウハウの対価として適正な金額だけコスト高になるのか、それとも適正な金額以上にコスト高になるのか、そこはフランチャイズ契約などをしっかり確認して見極めなければなりません。

3.簡単にやめることができない

経営ノウハウを開示したにもかかわらず好き勝手に辞められるとフランチャイズ本部のメリットがありません。そのため、事業をやめるときに「違約金の支払い」を取り決めることが多いです。違約金を求めることで加盟店が辞めにくい環境をつくっているわけですね。そのためフランチャイズで起業した後に「この仕事は自分に合わない」と思い至ったとしても、簡単にやめることはできません。
また簡単にやめることができないのは違約金だけの問題ではなく、「コンコルド効果」や「保有効果」といった行動心理が働いている可能性もあります。

コンコルド効果、保有効果とは?

コンコルド効果とは、このままでは損をすると頭で分かっていても損失を取り戻そうとする心理効果です。ギャンブルなどをイメージすると分かりやすいのではないでしょうか。
保有効果とは、一度手元に保有すると手放したくなくなる心理効果です。長年使っている車に愛着が湧くなど、物への愛着は誰しも経験があると思います。

フランチャイズ起業は、基本的に賛成できない

起業家バンクは基本的にフランチャイズ起業には反対の立場です。その理由を解説する前に、まずは起業家が潜在的に考えている「3つの起業動機」から話を進めます。

3つの起業動機とは?

起業家の3つの動機とは「儲けたい」「これをやりたい」「これならできる」の3つです。

起業する以上、「儲けたい」という動機は誰もが例外なく持っています。赤字を出して借金を続けて、それでもなお事業を続けたいという起業家はいないでしょうから、潜在的に儲けたいという動機は必ずあるものです。
つまり起業家の動機は❶❷❸のいずれかに該当するのですが、フランチャイズで起業を検討している方は、おおむね❸の動機をもっていることが多いです。そもそも「これをやりたい」という動機があれば、フランチャイズに興味を示さないともいえるでしょう。

起業家が必ず直面する失望期

どんな起業家でも必ず失望期に直面します
失望期とは「売上が思ったほど上がらない」「資金が底をついてきた」「お客さんが見つからない」といった期間で、起業して2年以内にかなり高い確率で直面します
新社会人が失敗しないことがないように、起業したばかりの新経営者もたくさん失敗しますし、また事業が軌道に乗るまで相応の時間がかかるため、「こんなはずじゃなかった」という失望感が生じやすくなります。

成功する起業家は「粘り強い」

ここで起業動機の話に戻ります。みなさんは、成功する起業家は「粘り強い」と聞いたことがありませんか?忍耐強い我慢強い執着心がある諦めない、といった言葉が使われることもあります。

❶、❷の動機で起業した人は「これをやりたい」という動機と繋がっているので、上記のような失望期に直面しても粘り強く事業を続けられるのですが、❸の起業動機をもった起業家は「これならできる」という動機が出所なので失望期を乗り越えられない傾向にあります。

それは、冒頭にも書きましたが、フランチャイズで起業を検討する起業家は器用でなんでもできる資質の人が多く、このような人たちにとって「これならできる」と思える事業は他にも沢山あるため、一つの事業にこだわる必要性が薄いことが背景にありそうです。つまり、できることが多い分、目移りしてしまうわけですね。

統計をとったわけではありませんが、❶、❷の動機の人に比べて失望が絶望に代わりやすく事業を見切るのが早いようです。

 

こんなフランチャイズ起業なら賛成

基本的にフランチャイズ起業には反対の立場ですが、もちろんフランチャイズで大きな利益を挙げている起業家もたくさんいます。次のようなフランチャイズ起業なら賛成できるでしょう。

1.❶❷の動機があるとき

❶、❷の動機で起業する場合は、フランチャイズ起業であっても賛成です。フランチャイズ本部の経営理念に共感でき、このフランチャイズを何としてもやりたいと強く思うのであれば全く問題ありません。自分の心に嘘はつけないので、本当にこのフランチャイズで起業したいのか真っすぐ自分の心に間いかけてみましょう。

2.経営ノウハウの取得を目的とするとき

たとえば将来自分のブランドを立ち上げると決めていて、その前段階としてフランチャイズ本部のノウハウを取得したいときなら賛成します。
今回の起業に関しては❸の動機になるかもしれませんが、将来的にみれば「これをやりたい」という動機と繋がっているので粘り強く事業を続けられるでしよう。

とくに職人系の方に多く見られますが、フランチャイズ期間は自分がブランドを立ち上げるまでの「修行と貯蓄の期間」と割り切っていたりします。

3.他に働く手段がないとき

極めて消極的な理由ですが、何かの理由があって会社員として働けず、そうかといって働かないと生活が苦しくなるときはフランチャイズ起業をーつの選択肢としてもいいでしょう。
ただし上記に記載したフランチャイズのメリット・デメリットをしっかり検討したうえで決めましょう。

まとめ

フランチャイズビジネスは多様化しており、今までにない新しい形態も誕生しています。自分が本当にやりたいこと、最も力を発揮できる自分の強みなど、日ごろから確認しておくと、いざフランチャイズ起業を検討するときにもブレずに考えることができます。

またフランチャイズで起業する場合であっても、自分で起業する場合であっても、起業に楽な道はありません。フランチャイズなら簡単に成功できると思ってはいけません。

 

今回はここまで。
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