起業家に伝えたい大切なこと

起業しても失業保険が受給できる|再就職手当とは

起業家バンク事務局

2023.06.15

会社を退職して起業を検討している人は失業保険をもらえるケースがあります。結論から言うと、起業することが確実な人は失業保険を貰えませんが、まだ検討段階で、求職活動と並行して、起業の準備・検討をする場合は失業保険の受給対象となります。この記事では、失業保険と起業の関係について詳しく解説します。

※失業保険の正式名称は「雇用保険の求職者給付のうちの基本手当」となります。 

失業保険を受給できる可能性があるケース 

起業を検討していても、実際の起業時には以下のようなケースがよく起こります。この場合は失業保険を受給できる可能性があります。

  • 起業資金を準備するため再就職する
  • 技術やノウハウを身に付けるため、知人の会社で修行する(再就職する)
  • 業績好調の会社の新規事業部として事業をスタートする
  • 起業仲間やビジネスパートナーが立ち上げた会社に従業員として参画する

受給するかどうか、受給できるかどうかは別として失業保険は申請をしなければ絶対に貰うことはできません。また、雇用保険の就業促進手当のひとつである「再就職手当」も受給できる場合があるので、迷っているならば手続きだけでも進めておきましょう!

失業保険を受給できないケース

失業保険は、失業者が安定した生活をおくりながら、できるだけ早く再就職できるよう支援するための制度です。そのため、次のケースに該当する場合は、原則として失業保険の支給を受けることができません。

1.そもそも失業保険の受給資格がないケース

  1. 自己都合退職の場合、退職日以前の2年間に「雇用保険の被保険者として11日以上働いた月」が、12か月未満であると受給資格がありません。
  2. 会社都合退職(会社の倒産やリストラなど)の場合、退職日以前の1年間に「雇用保険の被保険者として11日以上働いた月」が6か月未満であると受給資格がありません。

2.受給資格があっても受給できなくなるケース

  1. すでに起業して事業を営んでいる場合
  2. 求職活動をせずに、起業の準備・検討をする場合
  3. 起業の準備・検討期間が終了したとみなされる場合(開業届の提出、会社の設立、事務所の賃貸契約書の締結など)
  4. 会社の役員などに就任する場合(就任の予定や名義だけの役員も含む)

受給の手続き

自分の居住地を管轄するハローワークで手続きを行います。手続きには退職前の会社から発行される「離職票」が必要になります。多くの場合、離職票は退職後10~14日(約2週間)ほど経過すると郵送で届きます。

離職票が届くまでは失業保険の手続きはできないので、2週間以上経過しても離職票が届かない場合には、前職の会社へ問い合わせてみましょう。また、離職票が届くまでの間、ハローワークの窓口やホームページで必要書類などを確認しておくと手続きをスムーズに進められます。

受給金額

受給金額は次の計算式で求めることができます。

受給金額 = 基本手当日額 ✕ 所定給付日数

基本的に失業保険は「1日」を単位として計算します。概算の受給金額を知りたいときは、ハローワークの窓口で相談してみましょう。

基本手当日額とは?

基本手当日額とは「1日あたりの失業保険の金額」で、離職前の賃金をベースに計算されます。

基本手当日額は、離職前の直近6か月の合計賃金を180で割ったもの(賃金日額)の50~80%となります。賃金が低い人ほど給付率が高くなります(ただし、基本手当日額には上限額があります)。

所定給付日数とは?

所定給付日数とは「失業保険が支給される日数」です。自己都合退職であれば、離職時の年齢と雇用保険の被保険者期間に応じて、90日~150日となります。会社都合の退職であれば、年齢と雇用保険の被保険者期間に応じて、90日~330日となります。

基本手当日額と所定給付日数を確認するには?

離職票をハローワークに提出し、失業保険の受給手続きをすると、ハローワークで実施される雇用保険説明会のときに「雇用保険受給資格者証」が交付されます。この「雇用保険受給資格者証」に、あなたの正確な基本手当日額と所定給付日数が記載されています。

受給開始期間

自己都合退職の場合、離職票を提出して失業保険の手続きをした日から7日間の待期期間があります。その後、2か月(3か月の場合もあり)の給付制限期間が経過してから給付が開始されます。会社都合の退職であれば、離職票の提出から7日間の待期期間経過後から給付が開始されます。

再就職手当とは

再就職手当とは、失業保険の受給資格の決定を受けた後(待期期間の終了後)に、起業または就職した場合に所定給付日数の残日数に応じて支給される手当です。要するに「失業保険の手続きをした後、早く再就職をしたときは、本来貰えるはずだった失業保険の一部をまとめて支給します」といった内容になります。

再就職手当の再就職には「起業」が含まれるので、起業した場合であっても受給できることがあります。そのため、起業家にもっとも関係が深い手当といえるでしょう。

再就職手当の受給要件

再就職手当をもらうには、いくつかの要件を満たさなければなりません。そのうち、起業家に深くかかわる要件を紹介します。

  1. 待期期間終了後に事業を開始していること(事前に起業していないこと)
  2. 失業保険の基本手当支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること
  3. 過去3年以内に再就職手当や常用就職支度手当を受給していないこと

なお、給付制限を受けている場合、待機期間終了後1か月間は、ハローワーク等からの紹介で就職した場合のみが支給対象となるため、この期間に起業しても再就職手当の対象にはなりません。したがって、起業家が再就職手当を受け取れるのは、待期期間修了後1か月経過後となりますので注意が必要です。

再就職手当の計算方法

再就職手当の受給金額は次の計算式で求めることができます。

再就職手当の受給金額 = 支給残日数 ✕ 基本手当日額 ✕ 給付率(60%または70%)

再就職手当は、所定給付日数の残日数に応じて給付率が変動する仕組みです。所定給付日数の「3分の2以上」を残して起業(就職)した場合は、「支給残日数の70%の額」が支給されます。「3分の1以上」を残して起業(就職)した場合は「支給残日数の60%の額」が支給されます。つまり、できるだけ早く再就職したほうが受給できる手当金額が増えることになります。

その他の失業保険に関する注意点

認定日に求職活動の実績を報告する

失業保険は「求職活動と並行して創業の準備・検討をする場合」に該当したときに受給することができます。そのため雇用保険説明会および初回講習終了後、おおむね4週間に1回ある認定日に求職活動の実績を報告し、失業状態であることの認定を受けなければなりません。

ただし、離職票の提出後、離職者全員が必ず受講する「初回講習」も求職活動の実績として報告することができます。つまり、これを実績として報告すれば、最初の認定日は、何もしなくても「失業状態である」との認定を受けることができ、本格的な求職活動が始まっていなくても再就職手当を受け取ることは可能です。

まとめ

起業はすべて計算通りにいく訳ではありませんし、起業準備の途中で再就職となることも多くあります。失業保険を受給できるかどうか分からない場合でも、起業を確実に決めていないときは失業保険の手続きだけ行っておいたほうが良いでしょう。

 

今回はここまで。
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